私の愛読書司馬遼太郎の峠の上巻。
鉄砲はことごとく継之助自慢の最新式洋式銃であり、あつく菰(こも)をまいてわからぬようにした。
幹部はことごとく気骨と才腕のある者を選び、士はことごとく武芸達者を選んだ。
「京大阪には何者が横行しているか。口に尊王をとなえ、腹いっぱいに不平を蔵し、乱をのぞみ、おのれの名の知られんことを望んでいる連中ばかりである。朴歯(ほおば)の高下駄はき、長大な刀を帯び、鳶肩(とびかた)をいからせ、目を鷹の目にすごませ、路上を横行し、暗殺暴行を事としている。それが、いわゆる尊王の士だ」
と、明快に規定し、「が、それらの挑発に乗るな」
と、継之助は意外なことをいった。彼らが斬りかかってくればおとなしく斬られよ、死ね、と継之助はいった。
「さればこそ勇気のある者を選んだのだ」
今日は終戦記念日。平和の有難みを想い、真の勇気とはこういうものか、と戦慄する思いで読む。
自衛隊は、自国民の命を守るためなら、脅かす脅威に対して武力を行使しなければならないであろうし、行使し、守ろうとしてくれるであろう。が、取り返しがつく状況、人命がかかっていないのであれば、こういう勇気もまたあるのか、と思う。(自衛隊員の命はないであろうが)
平和を祈念いたします。