越の修武録 令和編

上地流空手道宗家直系春日山修武館 令和元年からの活動記録です。

前後際断

 今回参加する選手に「前後際断(ぜんごさいだん)」という言葉を贈りたいと思います。これは日本に禅を伝えた道元禅師の言葉でもあり、沢庵禅師の「不動智神妙録」と言う本に出てくる言葉です。少し難しいですが「不動智神妙録」の原文を書いておきます。
 
 「前後際断と申す事の候(そうろう)、前の心をすてず、また今の心を跡へ残すが悪敷(あしき)候なり。前と今との間をば、きってのけよと云ふ心なり、是を前後の際を切て放せと云う義なり、心をとどめぬ義なり。」『不動智神妙録』
 
 現代語に訳すと「前後際断とは、前も後も断ち切って、今ここに集中する。前というのは過ぎ去った過去のこと、後というのは未来のこと、どちらも断ち切って、今ここに集中する。」という意味になります。
 
 これは新武会代表師範泉舘幸久先生が、昨年12月の第18回武空杯自由組手大会、第16回錬成大会のプログラムに寄せたそのままの文です。
 
 新武会代表師範泉舘幸久先生、4月18日にお亡くなりになりました。ここに謹んでお知らせいたします。